先日、「tsubakiさんに会えたら聴きたいと思ってたことがあって!」と背景のボケた写真の撮り方について質問いただいたので、同様の「いろいろ調べたけれど専門用語が多くて混乱する」「やっぱスマホでいいや」な人向けのコツをメモっておきたいと思いました。
くしくも、質問してくれた方が使ってたカメラがFUJIFILM X-A5だったので、そのあたりもちょっと補足できればと。
とにかく簡単に背景のボケた写真を撮りたい…!
他の方からも同様の質問をされたことがある。最近のスマホだといい感じに背景ボケたりするけど、カメラを買って一番最初にやってみたいことって背景ボケの写真を撮る、って人多い気がする。
フィルムカメラであっても、デジタルカメラであってもできることは同じなので、どちらにも応用できる様に今回はデジカメの場合はマニュアルモード(M)の設定で、補足はいれつつなるべく専門用語を使わずにとにかく簡単に背景がボケた写真を撮る手順を書いておきます。
マニュアルモードなんて難易度高いよ!な人も、厳密にいうとちょっと違うんじゃない?な人も、ゆるっと読んでもらえたら嬉しいです。
背景ボケ写真を撮る手順
- 被写体(撮りたいもの)と背景の距離を遠くする(奥行きのある場所で撮影する)
- レンズの明るさを一番明るい状態にする(F値と呼ばれる“絞り”の数値を一番小さくする)
- ISOと呼ばれる感度の設定を決める
- シャッタースピードの設定を決める
- ピントを合わせてシャッターをきる!
設定は前述した通りマニュアル(M)で。フィルムカメラはそもそもマニュアルで設定していかないといけないし、私的にはデジカメは撮影モードがありすぎて混乱する→お任せモードでいいや…という負のループに陥る人たちを見てきたのでだまされたと思ってトライしてみて欲しいです。
撮りたいものと背景となる部分の距離を遠くして奥行きある場所で撮影するは工夫次第でできると思うので2〜4について解説します。
理屈いらないからどこをどう設定したらいいかだけ知りたいって人は
- 晴れた日の日中外にでる
- 撮影モードをマニュアルにする
- F値を一番小さい数字にする
- ISOを200にする
- シャッタースピードを200にする(思ってたより暗くなる場合は200〜60の間で好きなところに設定、明るすぎる場合は200より数字を大きくする)
- 被写体に近づいて、被写体と背景の奥行きのある場所でシャッターをきる
で試してください。これで撮れた!ってなったら補足を読んでもらえるともっといろんなシーンで撮影ができるようになると思います。
レンズの明るさを一番明るくする
お手持ちのレンズの明るさって一体どれくらいなんだろう…がわからないときは、レンズに書いてある謎の数字を見てください。
例えばこのレンズだと「EBC FUJINON・SW 1:3.5 F=28mm」と記載されています。この読み方は
- このレンズはEBC FUJINON・SWという型番ですよー
- 1:3.5の部分は、レンズの絞りを開放状態にしたとき(一応明るい設定にしたとき)3.5の明るさになりますよー
- F=28mmの部分は、このレンズでとれる画角(範囲の広さ)は28mmですよー
という意味になります。お手持ちのレンズによって表記の違いはあれど、基本的には「商品カテゴリ」「そのレンズが持ってる明るさの最大ポテンシャル」「そのレンズでとれる画角(範囲の広さ)」がレンズのどこかに明記されています。ちなみにこのレンズは「単焦点レンズ」と呼ばれるジャンルのもので、撮れる画角がひとつのみに限られています。
カメラのレンズと呼ばれるものは「単焦点レンズ」と「ズームレンズ」の2種類があります。
単焦点レンズは撮れる画角がレンズによって決まっているもの、ズームレンズはある程度の範囲で画角を変えれるものと思ってください。
画角ってどういうこと…?っと思った方は「視野の広さ」と考えもらえればいいかと思います。
広く開けた写真を撮りたい場合は「××mm」と書いてある部分が16〜35mmと記載しれているもの。これを「広角」と呼びます。
自分の目で見て比較的に簡単にとらえれる範囲のものは50mm前後。これが一般的に「標準」と呼ばれる画角になります。
遠くのものをピンポイントに捕らえたいときは80〜100mmと記載されているもの。80mm以上の値が記載されているときは「望遠」と思ってください。
カメラのレンズには「単焦点」と「ズームレンズ」の2種類があって、それぞれに「広角」「標準」「望遠」の3つの視野が用意されている。と思ってもらえれば問題ないです。
このレンズだと、商品カテゴリはRORST UIZOOMという名前で、ズームレンズなので35mmから70mmまでの画角を好きなように選べる。ただし、いろんな画角を選べるがゆえにレンズのつくりが複雑になっていて明るさも画角によって変わってくる、という表記になります。
見方としては、35-70mm、3.5-4.5という表記は、画角35mmのとき、最大の明るさは3.5、70mmのときは4.5になっちゃうよー!となります。
背景がボケた写真を撮りたいとき、レンズの明るさ(そのレンズが持ってるポテンシャル)が明るければ明るいほどボケやすい傾向になっているので、F値と呼ばれる部分がF2以下だとボケやすくなるのですが、お手持ちのレンズのF値を数値的にいうと一番小さい値に設定してください。
ISOの設定を決める
ISOというのは、感度と呼ばれる値のことです。フィルムカメラであれば、カメラに装填するフィルム毎にこのISOが決まっていました。
例えばこの写真の一番左上の「NATUPA 1600 36枚撮」とかかれている部分の1600、二段めの「SUPERIAズームマスター800 135 24」と書かれている部分の800という部分がISOと呼ばれる部分がISOの数値になります。(ちなみに135の表記は「35mmフィルム」を意味するので、普通のカメラで普通に撮りたいときは気にしなくて大丈夫です。)
フィルムカメラで撮影することが当たり前の時代、ひとつのフィルムをカメラに装填した時点でそのフィルムを撮り切るまでそのフィルムが持つISOの値は固定されるのが当たり前でした。
フィルム毎に「フィルムの名称」とそのフィルムで撮れる明るさの基準が明記されていて、おおよそISOの値は100〜1600が基準とされていたので、フィルムであれば3桁以上の数字が書かれている部分がISO(感度)を表していると思ってもらって問題ないです。
デジタルカメラの場合、ISOをシーンに合わせて変えれるようになったせいで、自由度が高いからこそ迷うことも増えたんじゃないかと思います。
私がISOを決める基準としては
- 天気のいい昼間=100〜200
- 夕方または天気の悪い昼間=400
- 夜=800〜1600
としています。フィルムカメラの場合、ISO100のフィルムを装填した時は天気のいい日中だといい感じの写真が撮れるかも!ISO400のフィルムだと曇りの日でも昼間なんとなく撮れるよね〜くらいで考えてもらえればOKです。
撮りたいシーンの天候(照明などの明るさ)に合わせて100〜1600の間でISOを設定してください。
補足すると、ISOの値が大きくなればなるほど、写真の画素数が荒くなる(大きく引き伸ばした時にぼやけた写真になる)といわれています。大画面に写したい、大きく引き伸ばしてプリントアウトしたい(A3くらいのプリントアウトなら全然余裕)場合を除いて、大きく映し出したときに「ざらつき」や「ピント合ってない感」(ノイズと呼ばれるもの)を感じる境界線がISO1600といわれているのでこの範囲で設定すればWeb閲覧やA3くらいのプリントアウトにとどまるレベルだったら余裕でクリアできます。
ぶっちゃけ「高速道路から見る大型看板レベルの大きさに引き伸ばして使う」のでなければむ難しく考える必要はなし。
シャッタースピードを設定する
手持ちのレンズの最大明るい値は確定した。撮影シーンで必要なISOの値も確認した。ここまで決まればあとはシャッタースピードを調整するだけで思い描いた写真を撮れるところまできました。
私がスナップ撮影をする際、撮影条件によって調整しますが、基本的レンズの明るさとISOを決めたらシャッタースピードはオート(A)にしていることが多いです。
シャッタースピードの設定で最初に躓くのは、4000、100、500…と書かれている数字。この数字、正しくは1/4000、1/1000、1/500…の“1分の”が省略されている表記になるので、数字が大きければ大きいほどシャッタースピードは速くなります。
デジカメの場合、ファインダーや画面を覗いて好みの明るさになるところの数値に設定するでもOK。もし、夜や暗い場所での撮影でブレる場合、手持ち撮影でブレないギリギリのラインが1/60秒といわれているので、4000〜60の間の数字に設定するようにしてください。
もしくは1/60より遅いシャッタースピード(表記でいうところの30〜1、T、B)でないと撮れない場合は三脚を使ったりどこか台の上に置くなど工夫しましょう。
フィルムカメラでシャッタースピードを決める場合、「露出計付き」というものであればカメラがよさげなシャッタースピードの数値を教えてくれます。露出計がない場合、その昔はカメラ購入時に取扱説明書やオマケとして「露出表」がついていました。
最近だと、「露出計」って検索するとアプリ化されてるものがたくさんありますし、物理の露出計というアイテムもあります。絶対失敗したくない…という人はこういうものを使うと良いと思います。
古いフィルムカメラだとだいたいシャッタースピードが1000、500、250、125、60…くらいしかなかったりするので(1000すらないものもある)背景がボケた写真を撮るための設定としては晴れの日の日中は500、夕方になったら125、夜は60でトライしてみてください。
ピントを合わせてシャッターをきる
いざシャッターをきるぞ!というシーンで思ったところにピントがいかない…なんて場合はフォーカスもマニュアルで調節してみよう!
FUJIFILM製のデジタルカメラにはマニュアルフォーカスのアシスタント機能がいくつかあります。(他メーカーでもあるんだろうけど)
私のおススメは「フォーカスピーキング」という設定です。設定の「撮影メニュー」→「MFアシスト」→「フォーカスピーキング」を選択すると、ホワイト、レッド、ブルーのそれぞれ強弱が選べるようになってます。このフォーカスピーキングを設定しておくとピント調節する際にピントの合っている部分が選択した色で強調されてどのあたりにピントがいってるかの目安を教えてくれます。
色が濃くなる部分ほどピントが合っていて、この機能は画面(ファインダー)内のみの標準で撮影した写真に影響が出るものじゃないので、FUJIFILM製のデジカメをお持ちの方はぜひうまく活用してみてください!
マニュアルフォーカスを使いこなせると同じ場所で撮影しても全然違う2枚の写真にすることもできるぞ!
最後に
背景がぼけた写真が撮りたい!となった場合、手持ちのレンズの明るさがどれくらい明るいかに依存します。だったら自分の持ってるレンズじゃ撮れないかなぁ…とがっかりしなくても被写体とそれ以外で映り込んでいるものの距離が離して撮ればある程度背景はボケます。
Instagramでみるみたいなやつが撮りたいなぁ…となった場合はやはり背景がボケやすいレンズを買うのも選択肢のうちのひとつです。
背景がボケた写真が撮りやすいレンズの選び方についてはこれまた長くなりそうなのでまたの機会に書いてみたいと思います。
こんな写真がとりたいけどどうしたらいい?という人がいればお気軽に @fujifilmdaisuki まで!(答えられる範囲でこんな感じでお答えします)
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